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2009年6月23日 (火)

隆明の小言・戯言・独言(こごと・ざれごと・ひとりごと)

4. 青春の時効
 次の瞬間、私は「ウゲェーッ」と叫んでいた。私の胸はそのシャツの白い色を止(とど)めていなかった。シャツは汚れ、ドロドロになっていたのだ。
 汚いは臭いはで、堪ったものではない。慌ててシャツを着替え、傍の先輩達を揺り動かしたが、一向に起きようとしない。
 テントの外に出ると、真夏の太陽が眩しい。人影がない。
 テントを見て回ると、皆ぶっ倒れている。昨夜の酒の所為の様だ。

 海辺に出ると、泳いでいたらしく、真面目先輩が水から上がって来た。飲んでいなかったのは彼丈らしい。
「お前が一番酔っていたな、みっともない」と、吐き捨てる様に言い、自分のテントに消えた。と思ったら楽器を持って出て来た。
 真面目先輩の一人演奏が始まった。行進曲である。その音を聞いて、あちこちのテントから宿酔(ふつかよい)がフラフラと出て来る。
 キャプテンも出て来て「おーい皆、集まれー」と、号令が掛かる。キャプテンは相当反省している様子である。
「強化合宿は中止する。皆、荷物を纏(まと)めろ」直ちに本土への帰参となって了った。何故か私丈が元気であった。ゲロゲロやって先輩達に介抱して貰い、迷惑かけた筈の私がピンピンしているのである。ゲロゲロやった事なんか何も覚えてなく、目覚めはすっきり、元気が漲っているのである。「私と酒は気が合っている」と、その時悟った。
 それ以来、五十年経った今も、朝方迄飲んだくれる事は日常であり、目覚めはスッキリ、元気漲る今日この頃である。
 因(ちな)みにラッパ部員の多くは、それ以来酒を飲んでいないそうである。皆、私の犠牲になったのかも知れない。
 五十年前の、青春の一コマであり、忘れられない想い出の一つであり、未だ淡い恋もしていない、やんちゃなガキ共の暑い夏の出来事であった……
 時効である。

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