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2009年11月24日 (火)

五木の子守唄

――沈没阻止に人生を賭けた人――

8. 見下ろす村は正に「郷」である
 翌日、湖底に沈む前の五木を確(しっか)り眼に焼き付けておこうと、朝食を済ますと、五木村探索に出かけた。
 
 長い歴史を漂わせる小学校校舎
 その木造の傷みが、今の五木そのものを物語っている様である。今の生徒数から見れば、教室の数が多過ぎる。校庭が広過ぎる。
 慰霊塔
 戦争に依って、此の村の若者達も何百人が犠牲になった。その霊を祀る此の高台も湖底に沈む。慰霊塔はどうなるのであろうか……
 村役場
 窓硝子越しに見える、職員の黙々として淡々と働く姿。生産的意欲に満ちた表情が、其処にはない。喜びも悲しみも全て胸の中に押し込めて、機械的に無感動に立ち振る舞う此の構図は、私の身を凍らせた。まるで、お葬式の行事をしている様である。笑う事も泣く事も出来ず、虚無に見を任せる村全体の姿を代表するかの様な、村役場の様相である。

 メイン通りの両側の民家や商家や農家には、人の気配が感じられない。既に立ち退いて、無人になっている空家も多いのだろう。雑貨屋等も開いてはいるが、店内に人の姿が見えない。
 山の高台に登り見下ろす村は、正に「郷」である。山間に集落する可愛い部落、五木。文明の機器に毒されていない、素朴な、自然に融和した、我々人間の原点なる姿が其処に在る。
 横合いの高台で、ブルド―ザーの音がする。何人かの工事作業員が居る。年配の女性も働いている。平地に造成しているのだと云う。
 代替地。どうしても五木を去りたくない人達の為に、代替地を造っているらしい。その代替地の為に、余計自然を破壊している。
 大自然に復讐して呉れと云わん許りの行為の連続。
 五木村はどうなるのであろうか……日本はどうなるのであろうか……

               つづく。

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