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2010年1月18日 (月)

肝っ玉姐さんの湯の町騒動記 7

7. カラコロ、カラコロと会話は続く……

「旨そうに飲むねー」
「そりゃ旨いさね、奢(おご)って貰う酒は最高に旨いだよ、アハハハハ」
「(二人)アハハハハ」(負けた)「然し、ママさんは動きといい、その機転といい、飲みっぷりといい、洗練されているというか、垢抜けてるというか……凄いねー」と、私。
「そうかい、分かるかい。アリガトネ。そんなに褒(ほ)めて貰っても出す物無いがね。困ったね。売り物の酒だが、もう一本飲(や)るかね」
「飲る飲る」
「悪いね。褒めて貰った上に売上に協力して貰って、生活が助かるよ。アハハハハ」憎たらしい位、確(しっか)りしてる。

「千春ちゃんはね、芸者もやってたんですよ。お父さんが芸伎置屋をやってましてね」成程。これで頷(うなづ)ける。着物の着こなし、ビールの飲み方に呑みっぷり、鍛えられてる訳だ。
 然し、芸者独特の玄人臭さが無いのは、どういう訳だ。
「ふーん。じゃ、芸者を引退して此のスナックをやったって訳か」
「外(はず)れたね。スナックが先で芸伎が後だわね。それに芸伎と云っちゃ、それこそ芸伎さんに叱られるわさ。何の下地も有りゃしないし、酌婦の様なもんだね」
「アレアレ。じゃ親父さんの置屋が人手不足で、駆り出されたって訳か」
「ま、大体当たりだね。我が子を使やー安く上がるし、親父も確りしてるわさ」
「ところが、娘のこれ又、確りしてる。お座敷に出りゃ、そこの客を此の店に引っ張って来る。一石二鳥って訳だ。アハハハ」
「アハハハ、云って呉れるじゃん、勇さん!あたしゃね、お座敷の客を引っ張って来ようなんて狭い料簡なんて持ち合わせちゃいないよ。お座敷が引いて帰って来ると、店の前までゾロゾロ従(つ)いて来てるだよ。追い返す理由も無いし、まあどうぞって訳」
「成程。勝手に従いて来たんじゃ仕様が無いわねーアハハハハ」
「そうそう、私は断れない性分だから。アハハハ」
「良い性分だ。アハハハハ」
 実に屈託なく、カラコロ、カラコロと会話は続く。
 山奥の温泉スナックの酒は旨い、弾む!
                           つづく。

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