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2010年10月18日 (月)

隆明の時事考現 9

9.感動の風化
 
 チリの落盤事故。700m近い地下に閉じ込められた33人が、70日振りに全員救出された。正しく地の獄から地上の天国に生還した奇跡のドラマに世界中で10億とも云われる人達が酔い痴れた。人の命の尊さ、家族の絆の素晴らしさを我が身に置き換えて実感した、至福の瞬間であり、24時間の救出劇であった。
 日本も列島激震、喜びに湧いた。が、その傍(かたわら)で親が子を殺し、少年が老人を楽しみ乍ら襲(おそ)うと云う行為が同時に起きている日本列島である。同じ人間なのに何(ど)うしてこうも違うのか……
 人間社会というものは理想通りには行かないものだ。正と悪、美と醜、関心と無視が混在し、入り乱れて生息している此の世の娑婆(しゃば)……
 一人の人間の中にも天使と悪魔が同居し、何時天使が悪魔に変貌するかも知れない。
 普段仏の様な、天使の様な人が、突然悪魔になる事は驚きではあるが、良くある事である。「あんな素晴らしい人が何故?」という言葉を頻繁に聞く。頻繁に聞くという事は、既に驚くべき事ではないという事である。残酷な事でも頻繁に起きると、人は、「またか…」と溜息混じりに呟く。残酷な事に麻痺し、驚かなくなった人間。
 こんな時に起きた落盤事故と、その救出劇は我々に勇気と希望という、大きなエネルギーを与えて呉れた。世界の人達が愛の力の偉大さ、友愛の素晴らしさを再認識した時、戦う事の愚かさを知り、戦争の危機から脱け出せるだろう。
 人は眼の前に起きた事から体験、経験する事に依って、勉強し、賢くなって行く。
 が、厄介な事に優等生許りではない。寧ろ、劣等生の方が多いのである。
 喉元過ぎれば熱さを忘れ。人は病気になって健康の有難さを知り、災難に遭って人の暖かさを知る。が、その興奮や感動も、日常の生活の中で風化していく。そして、何時の間にか自分中心の、自我の強い人間に戻って了うのである。
 優等生は少ない。優等生を多くしなければならない。
 優等生が優等生を呼び、大きな力となって、劣等生を叱咤激励し乍ら、戦争の無い地球にして行かねばならない。
 それには、先ず何よりも内なる悪魔を封じ込む事が肝要である。
 天使になる事は難しいが、悪魔には直ぐ、即なれる。 

                                                       つづく。

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