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2012年4月13日 (金)

もう一つの戦争 番外6

6.ボチさんへの通信2

 4月5日。正后から始まった「近衞通隆を偲ぶ会」
 ボチさん、貴方の唯一人の弟、ミミさんも此の日を以て現世との別れとなりました。
 
Saidan_4    霞山会館の天辺(てっぺん)
 全フロアを使用しての偲ぶ会は、粛々(しゅくしゅく)と厳かに、一人一人の献花が続き――滞りなく礼拝は終わりました。俺らと息子隆道は、「親族控え室」で居心地の良くない思いでいましたが、窓から見る下界は素晴らしい眺めでした。皇居を眼下に拝み、青天の陽光を浴びた桜の開花が、ミミさんの昇天を祝福しているかの様でした。
 叔母が座ってる所に行き「お疲れでしょう」と云って腰に手を当てる。
Sanretu_4  「うん。でも今日は大丈夫よ」と周りに気を遣ってか、背を伸ばす。俺らも気付いて直ぐ手を離したが、周りの目が……見るともなく。叔母ちゃまの隣りに坐っていたのがボチさん、貴方の奥さんでした。

 暫くしての立食会は豪勢な料理で、接待係の女性が盛って来て呉れたが、俺らと息子は遠慮しました。 とても食する気分ではなかったのです。所が、飲み物コーナーで日本Paty_3酒を見つけ感動、なんと「八海山」があったのです。係りの男性が「近衞様がお気に入りだったので、用意しました」と云い乍ら、コップになみなみと注いで呉れました。  
 オープンが近付いているスカイツリーや桜の東京を眺め乍らの立食会……取り立ててのスピーチもなく適当に、自由に退会という趣旨らしいので、数人の親しい人に挨拶――偲ぶ会を後にしました。
 澄んだ青空の下、咲きゆく桜を眺め乍ら……一つの時代の終焉(しゅうえん)を感じる帰路でした。
 俺(おい)らの「もう一つの戦争」は、未だ終わっていませんよ、ボチさん。
                       つづく。

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